この作品は、日渡早紀氏の「ぼくの地球を守って」(以下「ぼく地球」)のシリーズ3作目です。
「ぼく地球」では主役だったありすと輪の息子、蓮が、2作目「ボクを包む月の光」以降、主人公となっています。
(だから本作には、「ぼく地球次世代編Ⅱ」とサブタイトルがついています)
「ぼく地球」を読んでいた時、中学生~高校生ぐらいだった私も、今ではもうアラフォーですから、ずいぶん長く読んできた作品なんですよね……。コミックスにも「ぼく地球30周年」と書いてありますし。
やはり、多くの読者に愛されてこそのロングセラーなのだと思います。
「ぼく地球」では、“遠い星系から地球を研究するために月にやってきた異星人”……という前世を持つ、ありすや輪たちが、過去の記憶を取り戻すことで葛藤していくドラマが描かれました。
前世で彼らが暮らしていた母星の末路、なぜか1人だけ9歳も年下である輪の抱える事情……など、過去については重い部分もありましたが、10代の時、自分もいろいろと悩んでいた頃に読んだので、暗い部分にこそ共感をおぼえることも多くありました。
「ボクを包む月の光」以降では、ありすや輪の持つ力の両方を受け継ぐ蓮をはじめ、「ぼく地球」の登場人物の子どもたちが主役ですが、同時に、少しずつ苦しかった過去を乗り越え、「未来」を生きる輪たち大人の姿も描かれています。
それを読んでいると、自分自身の人生もあいまって、「未来にやってきたんだなあ」……という気がします。
だからこそ、今でもこのシリーズを読み続けているのかもしれません。
月にいた異星の研究者は7人だったのですが、実は、彼らの母星から地球に転生していた存在は、ほかにもいたようです。
「ぼく地球」では描かれなかった過去も、これからまだ明かされる模様。
この物語は、今後、一体どこに辿りつくのか予想がつきませんが、これからの展開を楽しみにしています。